本の紹介
2014.05.28
「人間の街 公共空間のデザイン」ヤン・ゲール著 北原理雄訳
建築家として50年間都市開発に従事してきたヤン・ゲールは、都市開発が伝統的手法から、計画専門家による理論的・観念的手法に変わり、結果として街のアクティビティを損なっている事例を目の当たりにし、公共空間を“人間的次元”から見直し、正しくデザインすることの重要性を唱えてきました。この本の中で彼は、生き生きした、安全で、持続可能で、健康的な街を実現するために必要な、街路・広場・ファサード・街のエッジ・交通計画などのデザイン手法を具体的に紹介しています。
よりよい都市空間が用意されると利用が増加する。この結論は、大きな都市公共空間でも個々の都市空間でも、ずっと小さなベンチや椅子でも明らかに有効である。また、気候風土の違い、経済や社会状況の違いにかかわらず、世界中のさまざまな文化や地域でほぼ有効である。物的計画は、地域や都市域の利用パターンに大きな影響を及ぼす。人びとが歩き回りたくなるかどうか、都市空間で時を過ごしたくなるかどうかは、人間的次元を注意深く扱うかどうか、魅力的な誘引を生み出せるかどうかにかかっている(P25)。