9/17(日)・18(月祝)『イストワール第8話『Port- 見えない町の話をしよう -』
関西に実在した人物、実際に起こった事件を題材にした
ドラマシリーズ「histoire イストワール」。
第8作目となる今年は、脚本・演出を
「匣の階」の久野那美さんにお願いし、今年9月に、
神戸アートビレッジセンターで上演いたします。
今回は、特定の個人を描くという従来の型を外し、
今年開港150年を迎えた神戸港について、
あえて寓話的に描いてみるという実験をします。
http://floor.d.dooo.jp/hako/
別の角度から言うと、今回の公演は、
Walkin'About@神戸港でのリサーチをもとに、
ドラマを創り出す、という試みでもあります。
また「匣の階」では来年1月に、神戸アートビレッジセンターで、
第5回OMS戯曲賞佳作受賞作『パノラマビールの夜』を
20年ぶりに再演します。
遠く離れた二つの町を寓話的に描いた同作品は、
大震災後の神戸をモチーフとしています。
見えない町、忘れてしまいそうな町。
僕らは神戸というまちに、どんな語り口を持てるのか。
そんな実験に、ぜひお立ち会いください。
イストワール第8話『Port- 見えない町の話をしよう -』リーディング公演
神戸開港150周年記念事業「港都KOBE芸術祭」連携事業
道はここで終わっていて、ここは行き止まりだった。
ある時、誰かがその先に海を見た。
海の向こうにあるかもしれない町を見た。 そしてそれを誰かに話した。
そんな町は見えなかった。
だけど、聞いた人は別の誰かに話し、その誰かもまた別の誰かに話した。
その町へ行ってみたいと誰かが思った。そしてそれを誰かに話した。
ない町へなど行けるはずがなかった。
だけど、聞いた人は別の誰かに話し、その誰かもまた別の誰かに話した。
海を超える方法を誰かが思いついた。 そしてそれを誰かに話した。
とても現実の話とは思えなかった。
だけど聞いた人は別の誰かに話し、その誰かもまた別の誰かに話し…
やがて長い時間が過ぎ…
ここを行き止まりだと思う人はもういなかった。
ここは、実は海の向こうの見えない町への門戸なのかもしれないと、誰もがひそかに思っていた。
そして、船が来た。ここは港になった。
劇作・演出:久野那美 / 音響:合田加代 /
演出助手:藤谷以優・吉村篤生(劇の虫) /
制作:若旦那家康
出演:大西智子(あなざーわーくす)・七井悠(劇団飛び道具)・
中村彩乃(安住の地/劇団飛び道具)・三田村啓示(空の驛舎)・
プリン松・渡辺裕子
■開演日時
2017年9月17日(日) 20:00 18日(月祝) 13:00/16:00/19:00
※各回、開演時間の20分前よりご入場いただけます。
※上演時間は約45分を予定しています。
■会場 神戸アートビレッジセンター ギャラリー
■入場料
一般(前売・予約・当日):¥1,300 / 大学・専門学校生(前売・予約・当日):¥1,000 / 高校生(前売・予約・当日):\500
主催:大阪ガス株式会社 /共催 神戸アートビレッジセンター/
協力 港都KOBE芸術祭実行委員会 / 企画・制作:匣の階
『パノラマビールの夜』
遠く離れた二つの町がありました。
うっかりすれば遠くにあることさえ忘れてしまうほど、二つの町は遠いのでした。
あんまりに遠いものですから、道は途中で足りなくなって途絶えていました。
互いの町を行き来する手段は何もありませんでした。
いつの頃からだったでしょうか。
互いの町がちゃんと遠くにあることを忘れないでいるために、
二つの町は夜になると小さく灯かりを点すようになりました。
夜になるとどちらの町も新しい灯かりを点し、遠くの灯かりを眺めるのでした。
どちら の町も、何があっても灯かりを絶やさないように注意していました。
灯かりを点してお くと、「寂しく」なくなるような気がしたのですが、
それが自分の町のためになのか、遠くの町のためになのか、よく分かりませんでした。
長い時間が過ぎました…
■日時
2018年1月25日(木)〜28日(日)
■会場 神戸アートビレッジセンター 1階ロビー
劇作・演出:久野那美 / 舞台監督:中西隆雄/
照明:葛西健一 / 音響:合田加代 /
演出助手:プリン松・吉村篤生(劇の虫)/ 制作:若旦那家康
出演:大西智子(あなざーわーくす)・七井悠(劇団飛び道具)・中村彩乃(安住の地/劇団飛び道具)・藤谷以優・チェサン・練間沙(劇団冷凍うさぎ)
主催:階 / 協力:大阪ガス株式会社 / 企画制作:匣の階