「ジブンダイジ型人間」のための住宅とは?
11/25(木)のうめきたTalkin’About「これからの郊外住宅地と住宅」には、
リアル・オンライン合わせて18名の方に参加いただきました。
関西大学環境都市工学部建築学科教授の岡絵理子先生からは、こんな話題提供をいただきました。
戦前の郊外住宅地は主に、ブルジョワジーや
サラリーマンを対象として開発されていましたが、
戦後になると、都市に出てきた地方出身者が
「住宅すごろく」の上がりとして、庭付きの
持ち家戸建て住宅を郊外に求めるようになりました。
そこでは、植栽を充実させた立派な庭を造ることで、
社会的権利や義務を一人前に果たす存在であることを
示そうという意識が働いていました。
ですが、郊外住宅地で育った子ども世代は家に戻らず
親世代だけが暮らすようになっていきました。
戸建て住宅が一代限りのものであると意識されるにつれ、
庭よりも駐車場を重視し、庭はバルコニー化していきました。
上田篤氏は1985年に著書『流民の都市とすまい』の中で、
この世には「オイエダイジ型人間」「コドモダイジ型人間」
「ジブンダイジ型人間」の3種類の人間がいるのでは、
と書いておられるそうですが、岡先生は現在では、
みんなが「ジブンダイジ型人間」になっているのでは、
という仮説とともに、戸建て住宅地の再生や
持続可能な住宅・住宅地について、
現れてきている事例をもとにお話しされました。
参加された方々の中には、郊外住宅地で暮らしている方、
郊外住宅地の空き家を活用しようと考えている方などがおられました。
身近な関心事だけに、みなさん熱く語っておられたのが印象的でした。