本の紹介
2016.06.29
「図説 都市空間の構想力」東京大学都市デザイン研究室 編
「図説 都市空間の構想力」東京大学都市デザイン研究室 編
日本の国土は、小さな尾根や谷が入り交じり、海岸線が入り組むなど、細かで豊かな地形的変化に富んでいます。気候の上でも豪雪地帯から亜熱帯まで幅広く、台風常襲地もあれば津波への警戒が必要なところまで多様です。それぞれの都市や集落は、その立地から細かな街路の線形に至るまで、こうした外部環境との応答の中でその姿かたちが規定されています。
いま日本の都市をみると、乱雑で何の脈絡もなくできあがっているように見えますが、建築物とそれを成り立たせている都市の構造を目を凝らして見つめ直すと、そこから都市空間を構成する意図、ビジョンを見出すことができるはずです。
この本は、東京大学都市デザイン研究室が長年行ってきた調査プロジェクトの集大成。同書を貫く「都市は様々な時代の様々な人々の意図、企図の蓄積が生み出す共同作品である」という視点は、これから都市をデザインする人たちが携えてゆくべきものです。