真の町並み保存は、暮らしや文化を引き継ぐこと
2/3(木)のうめきたTalkin'About「市民出資によるまちづくりの仕組み」には、
17名の方にご参加いただきました。
和太鼓奏者として、中学生の頃からイベントを通じて
様々な地域に足を運んできた畑本康介さんは、
2002年に?野藝術?房伊勢屋の運営への参加をきっかけに、
龍野城下町のまちづくりに関わるようになりました。
龍野には、淡口しょうゆ、手延べそうめん、皮革など、
全国で大きなシェアを占める地場産業があり、
工業系企業の下請け企業もたくさんあり、
これまでは観光誘客をしなくても潤っていました。
2019年に重伝建地区として登録されたことは、
観光客の増加とともに、住民生活を顧みない
利益目的の開発をもたらす可能性があるため、
畑本さんたちは、建物だけでなく、昔からある
暮らしや文化を引き継ぐことを目指して、
様々な活動を行っておられます。
イベントの運営を行う「NPO法人ひとまちあーと」と、
遊休不動産管理を業とする「株式会社緑葉社」が、
その活動の中核になっていますが、その周辺で、
町家ホテル事業、地域商社事業、施設運営、空き家相談、
企業主導型保育園事業、遊休不動産開発など、
多岐にわたる事業を、龍野城下町で展開されています。
現在では70軒以上を管理し、100名規模の職員がおられるそうです。
お話を伺っていると、ここまでの道のりは
決して平坦なものではなかったと伝わります。
物件を貸そうとしない、または高いことをいう所有者に、
100年後も町並みを残すために協力してもらえるよう説得する。
物件のロケーションだけでなく、それがどれだけ傷んでいて、
修復にいくらかかるか、かけられるかによって、
用途や運営方法は変わってくる。
まず飲食業を中心に、人の動線を意識して店舗を配し、
ある程度の集積ができてきたら物販店も受け入れる。
助成金を受けると、投資額に見合うキャッシュフローという
ビジネスをシビアに判断する目が曇ってしまう。
参加された方には若い方が多く、古民家再生や
まちづくりの文脈に明るくない方も多かったのですが、
実際の現場での経験に裏打ちされた畑本さんの視点は、
参加者のみなさんにも、しっかりと伝わったようです。
*畑本さんの取り組みについては、こちらでコンパクトに紹介されています。
「持続可能なまちづくりを龍野城下町で実践」市民出資の不動産会社、緑葉社
https://note.com/iroeum/n/nf291b9bbbf8c