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2015.04.16
「民俗学の旅」 宮本常一著
「民俗学の旅」(宮本常一著・講談社学術文庫)
“あるく みる きく”をテーマに、日本全国をくまなく歩きつづけた民俗学者・宮本常一(1907〜1981年)は、どのようにして宮本常一になったのか。
故郷山口県にあるちいさな島での体験談や、同じく民俗学者である柳田国男や澁澤敬三など恩師との交流、民衆文化研究の記録を通して宮本の人間像を知る事ができる自伝書「民俗学の旅」。
本書で〈民俗学という学問は体験の学問であり、実践の学問である〉と述べているように、宮本は他の研究者に比べフィールドワーク(実地調査)に費やした日数が圧倒的に多い。平凡な男の長く平凡な道の中には時に息をはずませるような出来事があったが、実績や成果の大半は小さな実りや出会いを積み重ね築いたものであった。特別な魔法が使えずとも、種をまき育て「人生や研究の旅」を続けた宮本常一の姿が厳しい現代を生きる私たちに希望をもたらす一冊となっている。
宮本常一(山口県周防大島出身)
日本各地の農村漁村をたずね歩き、民衆のくらし、歴史や文化を記録した民俗学者。生活用具や技術に関心を寄せ、民具学という新たな領域を築いた。
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イラスト・文章:日比野尚子
(離島と銭湯と盆栽が好きな大阪在住のイラストレーター)
http://www.sashie-design.net/