大阪ガスネットワークカンパニー

facebook
本の紹介

「アメリカ大都市の死と生」ジェイン・ジェイコブズ著 山形浩生訳

「アメリカ大都市の死と生」ジェイン・ジェイコブズ著 山形浩生訳

ジェイン・ジェイコブズは、戦後アメリカで急速に進んだモータリゼーションや、不適切な都市再開発が地域に荒廃をもたらしたことに警鐘を鳴らし、都市が魅力的で活力ある場として機能するために必要な要素として、「地域が複数の機能をもつこと」「街区が短いこと」「古さや条件が異なる建物が混在していること」「十分な密度で人がいること」を指摘しています。
ジェイコブズの卓見は、都市における人びとの営みを注意深く観察するところからもたらされています。そうした観察の結果を積分して、マクロとしての都市計画はいかにあるべきかまでを論じることができたのが、彼女の非凡なところといえます。

都市街路の信頼は、街頭で交わす数多くのささやかなふれあいにより時間をかけて形づくられています。ビールを一杯飲みに酒場に立ち寄ったり、雑貨店主から忠告をもらって新聞売店の男に忠告してやったり、パン屋で他の客と意見交換したり、玄関口でソーダ水を飲む少年二人に会釈したり、夕食ができるのを待ちながら女の子たちに目を配ったり、子供たちを叱ったり、金物屋の世間話を聞いたり、薬剤師から1ドル借りたり、生まれたばかりの赤ん坊を褒めたり、コートの色褪せに同情したりすることから生まれるのです(P74)。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加