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限界芸術としてのおかんアート

限界芸術としてのおかんアート


10/29(金)のうめきたTalkin'About
「地域資源から始まるローカルプロジェクト」には、
11名の方にご参加いただきました。

阪神・淡路大震災で甚大な被害を受け、高齢化が進み、
地域経済が衰退している神戸市兵庫区・長田区で、
山下香さんと淡路屋の伊藤由紀さんは「下町レトロに首っ丈の会」を発足し、
地域資源を発掘し、マップを作成し、下町遠足ツアーを開催していました。

そのツアーの中で2人は、不思議な手芸作品が
あちこちに展示されていることに気づきます。
そしてスナックのママを起点に、これらの作品を作っている
「おかんアーチスト」を発掘していきます。

そして彼女たちの作品を本にまとめ、
2009年には「おかんアート展」を開催しました。
当初は作品の展示に躊躇していたおかん達でしたが、
やがて主体的に展示したり、教室を開催したり、
婦人会と共催したりするようになりました。
やがて若い世代のクリエイターの出店も増え、
若手スタッフの運営チームが発足し、
全国の朝の番組で取り上げられたり、
巨匠の作品が森山直太朗氏のブックレットに取り上げられたりと、
さまざまな展開を生み出してきました。

近年は、若手スタッフが、作品だけでなく
作家に注目してもらえるような見せ方の工夫を行っており、
おかんアーチストたちも、自分の作品を展示・販売するだけでなく、
展覧会の開催を継続したい、そして若い子たちに何かしたい、
と思うようになり、和田岬の淡路屋さんの周辺で、
作品展や教室を開催するようになっています。
一方で今年8月には、「うまい棒」ともコラボし、
阪急百貨店うめだ本店にブース出展も果たしています。
https://www.facebook.com/okanart/

山下さんたちは、発掘し、発信と交流の場を作りつつも、
おかんアーチストたちが、自分たち自身が資源だと自覚し、
活動を通じて変化していくのを、見守って来られました。
その十数年にわたるストーリーを、今回共有いただきました。

哲学者の鶴見俊介さんは、専門的芸術家によるのでなく、
非専門的芸術家によって作られ、大衆によって享受される
芸術を「限界芸術」と名付けました。
著書『限界芸術論』では、落書き、民謡、盆栽、漫才、
絵馬、花火、都々逸、マンガなどを例に論旨を展開していますが、
鶴見さんがおかんアートを知っていたら、
この列に加えていたに違いないでしょう。

おかんアート展は、来年1月には和田岬で、
また1月~4月には、都築響一さんとコラボで、
東京・渋谷公園通りギャラリーで開催されるそうです。
ぜひどちらか、または両方に、足をお運びください。
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