本の紹介
2016.05.09
「痛快!憲法学」小室直樹 著
「痛快!憲法学」小室直樹著 2001年
集英社がかつて出していた「痛快!」シリーズの憲法編。この本には、憲法の条文解釈がほとんど出て来ません。展開されているのは、そもそも憲法とは誰のためのものか、キリスト教社会であるヨーロッパにおいて、憲法、議会、社会契約の概念、民主主義、資本主義はどういう背景から生まれてきたのか、そしてそれは日本にどのように移植されたのかという壮大な物語です。
小室センセイが編集者シマジ君に噛んで含めるように説明するスタイルで、とても分かりやすく憲法の本質をつかむことができます。そして憲法はその精神が遵守されない限り「死んでしまう」、その意味で日本国憲法をめぐる状況は決して楽観視できるものではないという指摘には、身が引き締まる思いがします。